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Copilot Studio
2025.05.13

元自治体職員(地方公務員)がCopilot Studioを使って業務に役立つエージェント活用を考えてみた

元自治体職員(地方公務員)がCopilot Studioを使って業務に役立つエージェント活用を考えてみた
村上洋輔

アーティサンの村上です。

Copilot Studioとは

はじめに、Copilot Studioを初めて聞いた方もいらっしゃると思いますので、Copilot Studioがどういうものかをお話させていただければと思います。

Copilot Studioのサービスページには以下のように説明されています。

Copilot Studio は、自然言語またはグラフィカル インターフェイスを使用してエージェントを作成できるようにするエンドツーエンドの会話型 AI プラットフォームです。

Copilot Studioを使用すると、業界、部署、役割の枠を超えて、社内外のシナリオのニーズに合ったエージェントを簡単に設計、テスト、公開できます。
スタンドアロン エージェントを構築することも、Microsoft 365 Copilot に発行することもできます。

出典:Copilot のカスタマイズとエージェントの作成 | Microsoft Copilot Studio

若干、難しく感じますが、まずは独自のエージェントを簡単に作成できるツールと考えて良いのではないでしょうか。

少し話がずれますが、最近では、Microsoftから『Copilot』とつくサービスを数多くリリースされております。 各サービスに『Copilot』が付くことで、どの『Copilot』が『何に』利用できるかが、まだわかりづらいというのが正直な所です。

その点については、弊社の小刀稱が分かりやすくブログにまとめているので、参考にしていただけると、各Copilotがどのように業務に活用していけるかがイメージできると思います。
ぜひ、ご覧いただけると嬉しいです。

 

Copilot Studioの地方自治体での業務にどう活用するかを考えてみた

Copilot Studioの良い所は、pdf形式などのデータをナレッジソースとして読み込ませるだけで、そのソースを基に回答してくれるエージェントが完成する所です。

今回作成したのは、建築業務に特化した公共建築工事の各基準を回答してくれるエージェントを作成してみました。

地方公務員の業務の1つである、公共建築工事を管理する業務に活用できるエージェントになります。監督員とよばれる業務です。
今回のナレッジソースは国土交通省の『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)』をナレッジソースにしてみます。

出典:国土交通省HP【公共建築工事標準仕様書(建築工事編)】

今回こちらの業務を選んだ理由は、私が技術職(建築)だったということもあるのですが、 昨今、各地方自治体の課題として建築・土木の知識を有した、技術職員の不足が話題となっているのを目にするためです。

私自身も在職中は、一般の事務職員の方が公共工事を担当し、苦労されているのを目の当たりにしてきました。

公共工事を監督するには関係する指針や法律が多く、事務職の方が担当するには、なかなかハードルが高いです…。
そこで、活躍できそうなのが、今回作成するエージェントです。

村上洋輔

では、早速作ってみましょう!

 

Copilot Studioでエージェントを作成してみる

  • Copilot Studioの『作成』または『新しいエージェント』から作成ができます。

    作成/新しいエージェント
  • 次に『ナレッジ』の追加を選択します。

    ナレッジの追加
  • 続いて、『ファイルのアップロード』を行います。

    こちらにアップロードしたファイルをナレッジソースにエージェントが作成されます。
    今回は『公共建築工事標準仕様書(建築工事編)』をナレッジソースにしていきます。

    ファイルのアップロード
  • エージェントが作成された後は、各項目編集可能になります。

    以下のアップロード後の画面でナレッジの名前と説明が変更できます。

    ナレッジ名/説明の変
  • また、エージェントの名前は以下の画面から変更できます。

    今回は、『建築工事監督職員 おたすけ エージェント君』にしてみます(笑)

    エージェント名の変更
  • 次に実際のエージェントの回答になりますが、画面上部の『トピック』から初めのあいさつ文を変更することができます。

    赤枠の『BotName』が先程編集したエージェントの名前に置き換わります。
    Copilot Studio のトピック – Microsoft Copilot Studio | Microsoft Learn

    トピックの編集(初期)

少し親しみやすい文言に編集してみました!

トピックの編集(編集後)

次の章で実際にエージェントに質問してみましょう。

 

エージェントに質問してみる

今回は施工業者の方から提出される『総合施工計画書』について、記載すべき項目を聞いてみました。

エージェントに質問 1
村上洋輔

しっかり答えてくれます!

これで、工事施工業者さんから提出された総合施工計画書の項目の漏れがないか、一瞬で確認できます。

エージェントが無ければ、先輩職員の方に聞く時間、仕様書を探す時間、何ページに載っているのか探す時間、もしかすると半日はかかっていたかもしれません…。
エージェントのおかげで、4時間程度は効率化されるのではないでしょうか?

数年前までこのシステムを作るのに、どれくらいの時間と費用が掛かっていたのでしょう…。

今は月30,000円程度で独自のエージェントが作成できてしまいます。本当に活用しないほかないと思います。
Copilot Studioに限らず、新しい生成系AIのサービスをどんどん活用し、業務効率をあげて、本来やりたいこと、やるべきことに時間を割いていければ、世の中もより良くなるのではないのでしょうか。

自治体×生成系AI地方公務員×生成系AI行政事務効率化×生成系AI…今後のトレンドの1つになっていきそうな予感です。

話がずれてしまいました…。

村上洋輔

エージェントの話に戻ります!

次は、工事現場での各工程の監督員の立会を想定して、検査基準値などをエージェント君に確認してみます。

表形式での回答にはなりませんでしたが、コンクリートの受入検査の基準値を回答してくれました。
何度かやりとりすると欲しい情報をしっかり教えてくれます。

エージェントに質問 2
エージェントに質問 3

更に情報が欲しい場合は参照から、ナレッジとした掲載箇所を表示してくれます。

少し見えづらいですが、必要なワードを入力し、該当箇所周辺を自分で確認することでも効率化を図れるのではないかと考えます。

参照

また、このエージェントが利用できるタブレットを現場に持って行くことで、安心して現場立会・検査ができるのではないでしょうか。
基準が載っている厚い本を何冊も持って行く必要もなくなります。

更に、調べることに割いていた時間も削減でき、現場での施工業者さんとのやりとりもスムーズになると思います。

 

Copilot Studioで地方自治体業務で何ができるか考えてみた

今回は建築業務に特化してエージェントを作成してみましたが、これに限らず、地方自治体様の業務では、数多くのマニュアルや指針が存在するかと思います。

そこで、職員時代を思い出し、以下のような活用方法も考えてみました。

  • 補助金交付要綱をナレッジソースとしたエージェントを作成し、概要や補助率などを説明してくれるエージェント

    効果:長くてわかりづらい要綱を読み解く時間を削減が出来そうです。
    住民の方向けの補助金であればHPにエージェントを載せることで、問合せへの対応時間も削減出来そうです。

  • 産業まつりや選挙などのイベント時の従事者マニュアルをナレッジソースとしたエージェント

    効果:従事者説明会の時間短縮、その後の質問対応時間の削減が出来そうです。

  • 市役所HPをナレッジソースとした住民向けのエージェント

    効果:市役所HPのURLをナレッジソースとすることでサイト内の情報を基に、住民の方からの暮らしに関わる単純なお問合せに対応でき、対応時間が削減できそうです。
    住民の方も問合せ時間も削減でき、満足度が向上するかもしれません。

  • 各課の所掌事務のデータをナレッジソースとし、総合案内等で担当課を教えてくれるエージェント

    効果:総合案内(窓口)での住民の方への対応がより効率的で正確になり、人件費も削減できるかもしれません。
    エージェントを搭載したタブレットを総合案内に設置することで、住民の方もすぐに担当課を把握でき、満足度の向上も期待できます。

 

最後に

Copilot StudioはPower Automateなど他ツールとの連携や生成AIのプラグイン、手動でトピックを設定していくことでより、更に有効なエージェントの作成が可能です。
しかし、今回ご紹介させていただいたように、ナレッジソースを1つアップロードするだけでも、多くの業務を効率化できるのではないかと考えております。

ご説明させていただいたとおり、構築も簡単ですので、日々複雑な業務をこなす自治体職員の方であれば、すぐに自分にとって最適な副担当(エージェント)が仲間になってくれると思います!
ぜひ、日々お忙しい職員の方々に、こういった簡単にできるDXを楽しみながら取り組んでいただけたら嬉しく思います。

ここまで、Copilot Studioの簡単な構築方法、自治体業務での活用方法を考えてみましたが、Power Automate、Power Appsなど他のツールと連携することで、より多くの業務を効率化することができます。
先日行われたMicrosoftのセミナーでは、Power Appsと連携し過去の議会答弁と作成中の答弁案の差分を教えてくれるエージェントを構築されておりました。
これは、喉から手が出るほど、欲しい方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今後も実務をイメージさせていただきながら、Power PlatformCopilot生成AIの活用方法を皆様にお届けしていければと思っております。
進化の早い分野ですので、弊社としても最新情報をピックアップしていければと思っております。

今後も、地方自治体、中小企業の皆様や、日々奮闘するCopilot Studio・Power Platform初学者、市民開発者の皆様にCopilot Studio・Power Platformの良さが伝わるよう、有益な情報を届けられたらと思います。

引き続きよろしくお願いいたします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

Power Platform(SharePoint・Power Apps・Power Automate)に関する営業活動や設計、開発などを担当:小刀稱知哉

村上洋輔

岩手県在住

13年半程の地方自治体職員を経てIT業界へ飛び込みました!

趣味はキャンプ⛺、釣り🐟、家庭菜園🥬、サッカー⚽・・・アウトドアが好きです!

Power Platformに関する業務を担当しております!

非エンジニアの方々、地方の企業様、地方自治体様へもPower Platformの良さが伝わる活動ができればと考えております!

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