技術情報ブログ
Power Platform
2024.03.27

Power Automateのベストプラクティス・アンチパターン(5)【Apply to each×コンカレンシー×変数の設定はNG】

Power Automateのベストプラクティス・アンチパターン(5)【Apply to each×コンカレンシー×変数の設定はNG】
小刀稱知哉

こんにちは。アーティサン株式会社の小刀稱(ことね)です。

Power Automateは、コーディングの知識がなくともお手軽に業務の自動化を行うことができる非常に有用なツールです。
しかし、誰でも簡単に始めることができるといえど、そこにはお作法が存在します。

お作法を守らずに作成すると、「他の人がメンテナンスできない」や「修正時のコストが大きい」といった問題が発生します。

そこで、Power Automateに関する案件を数多く対応してきた弊社が、現在までに蓄積した「Power Automate設計時のノウハウ」について紹介します。

本記事を読んでいただくことで、Power Automateを扱う際の「やるべきこと・やってはいけないこと」を知り、より保守性の高いフローを作るコツを掴めるかと思います。

内容としては、既にPower Automateでフローを作成したことがある方に向けた記事です。
また、これからPower Automateを作成したい方も、事前に一読していただくことをお勧めします。

Power Automate初心者の方は、以下の記事も参考にしてください。

第5回目の今回はApply to eachでコンカレンシー制御を行う場合は、変数の設定を行ってはいけないという内容についてお伝えしていきます。

 

アンチ・パターン(Apply to eachの中で変数を設定)

最初にNG例について紹介します。

今回作成したPower Automateは以下です。
(Arrayの各値を1つずつ表示しているだけのフローです。)

Apply to eachの中で変数を設定
Apply to eachの中で変数を設定

ポイントとしては、以下2点です。

  • Apply to each処理の中で、コンカレンシー制御をオンにしている

    コンカレンシー制御
    コンカレンシー制御
  • Apply to each(以下、ループ処理)の中で変数の設定アクションを使用し、変数にて値を保持している

上記フローを実行した際、作成:保持した値の表示アクションには、 各ループの値(one ~ five)がそれぞれ格納されると思ったのではないでしょうか。

しかし、実際に結果を見てみると、予想と異なる値が格納されていることが分かるかと思います。

結果(Apply to eachの中で変数を設定)
結果(Apply to eachの中で変数を設定)

ちなみに本フローを複数回実行すると、実行結果ごとに作成:保持した値の表示アクションに表示される値は異なっておりました。

(みなさんも実際にフローを作成し、確認されることをおすすめします。)

なぜこのような結果となるのでしょうか?
それは、変数はすべてのループ処理で共通のリソースを同時参照するためです。

イメージは以下です。

イメージ(Apply to eachの中で変数を設定)
イメージ(Apply to eachの中で変数を設定)

Apply to eachでコンカレンシー制御を行った場合は、各ループ処理が同タイミングで実行されます。
その際、変数の値は各ループで共通となるため、いずれかのループ処理で設定した値が、他のループ処理から参照されることになるわけです。

よって、Apply to eachでコンカレンシー制御を行う際に、変数の設定を使用すると、予想外の値が格納される可能性があるためおすすめいたしません。

 

ベスト・プラクティス(Apply to eachの中で作成を設定)

上記の対応を回避するためには、変数ではなく作成を用います。

改良したPower Automateは以下です。

Apply to eachの中で作成を使用
Apply to eachの中で作成を使用

変数の設定:現在のアイテムを「変数」で保持アクションを作成:現在のアイテムを「作成」で保持アクションに変更しました。

上記フローを実行すると、予想通り各ループの値(one ~ five)がそれぞれ格納されました。

結果(Apply to eachの中で作成を設定)
結果(Apply to eachの中で作成を設定)

作成の場合は、コンカレンシー制御を行ったとしても、各ループ処理で個別のリソースが参照されます。
よって、いずれかのループ処理で設定した値が、そのループ処理のみから参照されることになります。
(いわゆる「スレッドセーフ」となります)

イメージ(Apply to eachの中で作成を設定)
イメージ(Apply to eachの中で作成を設定)

 

さいごに

Power Automateで処理を高速化する場合には、Apply to eachアクションのコンカレンシー制御はよく使われる内容だと思います。
しかし、今回の内容を知っていないと予想と異なる値が格納されることになるため、注意が必要です。

今回ご紹介した内容も、とても有用な内容ですので、是非覚えていただきたいです!

この記事を書いた人
小刀稱知哉

小刀稱 知哉ことね ともや

SharePoint Power Platform全般 Copilot Studio 技術アドバイス・教育支援

Power PlatformやSharePointを中心に設計・開発・アドバイス・教育まで幅広く担当しています。内製化をご希望の場合はお気軽にお問い合わせください!

2025 Microsoft MVP(Power Apps・Power Automate)
PL-200 PL-300 PL-400 PL-600 MS-700 AZ-104 AZ-305 SC-200 SC-100

Microsoftクラウド関連

シェアする
記事カテゴリ
最新記事
2026.04.22

ソリューション内で異動・退職者のPower Apps/Power Automateなどを引き継ぐには?所有者変更の手順と注意点を解説

2026.04.15

SharePoint:『リンクのコピー』は危険?権限トラブルを防ぐ推奨運用を解説

2026.04.08

技術ブログ100本書いてみたら、想像以上に得るものがあった話

2026.04.01

社内に聞く人がいない「孤独なDX」を解決!アーティサンの内製化支援サービス

2026.03.25

SharePointの便利なURLパラメータ活用術|ヘッダー削除・リスト絞り込み・メンテナンスモード

サブグリッドattributeO/Rマッパーマーカークラスタリングライブラリviewメールコンポーネントエクセルスケジュール済みクラウド フローChatGPTライセンスmultiple itemエラー通知更新日生成系AITest Studio生成AI自治体APIPnP PowerShellページ承認Formulasプロパティフロー設計Power Apps 導入並べ替えブログ 継続 コツDLPDataverse テーブルvalidationazure sql databasetailwindcssビューfirst()関数dialogerrorレスポンシブ レイアウトOpenAI環境構築手順複数項目削除変更Copilotテスト事例HTTP リクエストカスタムスクリプトドキュメント管理カラーセットテンプレート活用Power Apps 比較ヘッダー非表示技術力向上権限管理ベストプラクティス部署ローコードCase式マルチテナントアクセス制限nestTips復元responsive layoutオープンAIpipelineシェアポイントフォルダ外部DBlicenseテストスタジオ活用ワーケーション業務効率化IT管理カラーユニバーサルデザイン自動化事例モデル駆動型 とはリスト フィルタ文章力 鍛え方野良権限リレーションシップAngularHTTP Requestドロップダウンメニューノーコード入れ子新機能restoreデータ行の制限チャットGPTCI/CD便利機能ゴミ箱連携添付ファイルコントロール使い方サイトブランド化名古屋ファイル保存申請システムアプリデザインNode.jsシステム構築便利アウトプット 重要性Teams ファイル共有1対多AccessCSSBreakpointObserver承認動的リスト変数Power BI引き継ぎgalleryパイプラインカレンダー完全削除接続ファイルサイズ基本知識フォントカスタマイズ体験記エンティティワークフロー自動化UI/UXVisual Studio CodeAlternate Key野良アプリ対策IT エンジニア 転職OneDrive多対多InfoPathxUnitメディアクエリリマインドcollection検索個人列退職ギャラリーDevOpsCalendarモデル駆動型データフローフルリモートワークPowerAutomateブランドセンター感想フォルダ構成設定アクセシビリティPCF代替キーCoEブログ モチベーションつながり参照ER図MatTable.Net Core 3.1スマホSetコレクションMicrosoft 365グループユーザー列所有者を変更スクロールMicrosoft 365Teamsセキュリティロールrecycle binアーティサンX-SP Designテーマ作成チームサイトMicrosoft Learn Docsアジャイル開発Wordテンプレート環境構築重複チェック内製化コンサルティングネタ切れ 対策システムカスタマイザー入門編Angular MaterialVSCodePCForAll複数の添付ファイルセキュリティグループSharePoint Online異動コンテナ簡易在庫管理ローコード開発ビジネスルールアクセス許可Artisanスライドショーデザイン拡張コミュニケーションサイトカスタムコネクタ準委任契約業務自動化カスタムコンポーネントGUIDITサポートAI ブログ 活用Connection Reference1行テキストデータ構造.Net Core Test ExplorerレスポンシブUpdateContext承認フロー送信元リストLoopショートカットキー時間外非エンジニアDataverseSharePoint Framework転職Slide showMicrosoft365サイトの種類OpenAPI請負契約効率化Power Platform CLI業務キー月額定額PV数 増やす共同所有者複数行テキストモデル駆動型アプリSortByColumns関数Dataverse for TeamsDynamics 365ロードマップフォームメールの送信非表示Microsoftshortcut key通知体験談JavaScriptSPFx主キー比較移行要件定義MCPサーバー総合評価型入札資料作成開発手順複合キー委任問題権限トラブル主要な所有者選択肢Power AppsTypeScriptitem関数入門技術form差出人アプリdesignconcat関数ファイル勉強表示サンプルCopilot Studio社内ポータル多言語化サイト構成FAQエージェントデジタルトランスフォーメーション初心者向け拡張機能データ整合性Delegationアクセス権限環境変数日付Power PlatformHTMLGoogle Maps初心者Itエクスポートインスタントクラウドフロー[市民開発者JSON文字制限フィルター クエリ内製化切替samplePowerAppsグループウェアMUI権限設計AIチャットボットプロポーザル方式ハウツービルドデータベース設計サブスクリプション型支援ファイルパスクラシック画面整数SharePointEF CoreMarker Clusterer中級者DXインポート自動化したクラウドフロー構築デザインフロー実行ドキュメント ライブラリ市民開発登録者X-SPNFCタグエンゲージメントMultilingualデータ移行実運用官公庁システム画像挿入プロジェクト作成ユニークキーMVP共有設定ソリューションエクスポートデータ型ExcelマイグレーションRANK()関数キャンバスアプリノウハウカスタマイズ委任自動化したクラウド フロー運用開発環境filter query管理システム列StyleDLPポリシー地方自治体MLJSON書式保守性デジタル化推進複数レコードPCFギャラリー一意制約技術支援情報漏洩対策権限管理Power AutomateFramework CoreDynamics 365 SalesDatePicker情報技術componentVBAフローの種類選択肢列環境sortガバナンス登録日StudioTestCopilot Studiot共有リンクテンプレート化DX推進テーマカラーPDF変換業務システムURLパラメータ技術ブログ 書き方コマンドバーカスタマイズ組織変更C#Attribute directivesMicrosoft TranslatorDropdownメッセージIDダイアログエラーインスタント クラウド フロー参照列本番環境ソートerror notification更新者AICanvas自治体DXレポート化サイト複製作り方ダークモード資料自動作成キャンバスアプリ 違いメンテナンスモードエンジニア ブログ メリットSharePoint管理センター注文管理アプリ
PageTop
ページトップに戻る