社長AIブログ 第5回 | 禁断のAI課金。AIで開発費は本当に安くなったのか?

この記事の4行要約
- AIを本格的な開発に使うと、利用料は「月額数千円」ではなく月20万円・30万円台に達することがある
- 人を雇う場合のコストと比較すると、AI活用による開発費は単純な金額比較でも依然として安いと考えられる
- 「失敗コストの低下」「サンクコストの縮小」「市場投入までのスピード」など、開発費そのものの構造が変わりつつある
- 本記事では、実際にAIへ課金しながら開発してきた経験から、AIで開発費は本当に安くなったのかを経営者の視点で考察します
小山 才喜こやま さいき
得意領域
元マイクロソフトの技術営業、ジョルダン社での事業立ち上げを経て独立、起業13年目の生涯現役社長
など著書多数
保有資格
Microsoft 認定資格(MCP)を30以上保持したタイトルホルダー
最近、AIを使ってかなり本気で開発しています。
第1回では、
AIでまた開発者に戻った話。
第2回では、
AIだけで本当に製品を作れるのか。
第3回では、
OpenAIとClaude Codeを一緒に働かせている話。
第4回では、
AI同士にレビューさせたら揉め始めた話。
を書きました。
【このシリーズの過去回一覧】
そして今回は、
経営者として避けて通れない話です。
で、結局いくら掛かるの?
という話です。
AIを使えば開発費は安くなる。
これはたぶん本当です。
ただし、
AIは無料ではありません。
当たり前ですが(笑)
最初は「月額数千円でしょ?」くらいに思っていた
ChatGPTを使い始めた頃は、
月額数千円。
それでかなりいろいろできる。
「安いな」
と思っていました。
文章を書く。
調べものをする。
アイデアを出す。
資料を作る。
このくらいなら、本当に安い。
ところが開発に使い始めると話が変わります。
設計をさせる。
大量のソースコードを読ませる。
実装指示を作る。
コードを書かせる。
レビューする。
修正する。
またレビューする。
テストする。
GitHubの差分を読む。
さらに別のAIにも同じものを見せる。
こうなると、
AIを「使う」ではなく、AIを「働かせる」
に近くなります。
当然、利用量も増えます。
気づけば月20万円、30万円台
最近は、
OpenAI、
Claude Code、
各種API、
その他AIツール
などを組み合わせています。
開発が集中する月は、
AI関連だけで月20万円台、30万円台
になっても、あまり驚かなくなってきました。
いや。
経理的には普通に驚く金額です(笑)
昔の私なら、
「AIって月3,000円くらいじゃないの?」
と思っていたはずです。
それが今は、
「今月どのAIが一番食った?」
みたいな話になります。
完全にサーバー利用料を見る感覚に近くなっています。
それでも人を雇うより安い?
では、
月20万円、30万円をAIに使うのは高いのか。
ここは比較対象によります。
例えば、
開発者を1人、
1人月100万円前後で外部にお願いするとします。
3人月なら300万円。
設計、開発、テスト、レビューまで複数人でやれば、
当然もっと掛かります。
それに対して、
AI利用料が月30万円掛かったとしても、
そのAIで、
要件整理
設計
実装
テスト
コードレビュー
ドキュメント作成
障害解析
までかなりの部分を進められるなら、
単純な金額だけを見れば、
まだかなり安い。
私はそう見ています。

もちろん、
AI30万円=人間300万円分
という単純な換算はできません。
人間にしかできない仕事も多い。
逆にAIの方が圧倒的に速い仕事もある。
ただ、
開発費の構造が変わってきた、
ということは間違いないと思います。
一番大きいのは「失敗コスト」が下がったこと
私はここが一番重要だと思っています。
新規事業では、
作ったものが売れるとは限りません。
むしろ、
売れないことの方が普通です。
昔なら、
アイデアを製品にするまでに、
数百万円。
場合によっては1,000万円以上。
しかも数ヶ月。
これだけ掛けてから、
「やっぱり違った」
となる。
これはかなり痛い。
だから、
新しいことを始めるハードルも高くなります。
ところがAIを使うと、
まず作る。
触ってみる。
違ったら捨てる。
また作る。
ということがかなりやりやすくなりました。
つまり、
AIで一番安くなったのは、コードではなく失敗かもしれない。
最近はそう思っています。
1週間で捨てられるのは強い
昔だったら、
3ヶ月掛けて作ったシステムを、
「やっぱり違うから捨てよう」
とは、なかなか言えません。
人件費も掛かっています。
関係者も多い。
愛着もあります。
会議もいっぱいしています。
簡単には捨てられない。
ところがAI開発だと、
数日、
1週間、
2週間
でかなりのところまで作れる場合があります。
そして、
「これ違うな」
と思ったら、
捨てる。
これは経営上かなり大きい。
サンクコストが小さい。
だから意思決定も速くなります。
ただし、AIを使うほど「人間の時間」がゼロになるわけではない
ここは重要です。
AIが開発してくれるなら、
私は何もしなくていい。
という話ではありません。
実際には、
AIの出した設計を見る。
レビュー結果を見る。
修正内容を見る。
優先順位を決める。
どこまで品質を求めるか決める。
マージするか決める。
リリースするか決める。
結構やることがあります。
コードを書く時間は減りました。
でも、
判断する時間は増えました。
そして、この人間の時間も当然コストです。
特に、
AIが高速で仕事をするようになると、
こちらに判断がどんどん飛んできます。
昔なら、
「来週レビューお願いします」
だったものが、
今は数十分後に戻ってくる。
AI:
「実装完了しました」
私:
「レビューします」
AI:
「修正しました」
私:
「もう?」
みたいなことが普通に起きます(笑)
AIは安いけど、放っておくと普通にお金を使う
AIは便利です。
便利だから、
つい使います。
レビューさせる。
もう一回レビューさせる。
別モデルにも聞く。
別案も作らせる。
さらに改善させる。
気づくと、
トークンおかわり。
という状態になります。
これは本当に危ない(笑)
AIは疲れません。
だからこちらが止めないと、
延々働きます。
そして、
働いた分だけ請求されます。
人間なら、
「今日はもう帰りましょう」
となるところを、
AIは24時間働けます。
経営者としては嬉しいような、
怖いような話です。
「安いAI」と「高いAI」を使い分ける
最近は、
何でも一番高性能なAIに投げる必要はない、
とも思うようになりました。
例えば、
文章の整形。
単純な調査。
ログの分類。
定型的なコード修正。
こういうものは、
必ずしも最高性能のモデルでなくてもいい。
逆に、
設計。
アーキテクチャ判断。
重大なコードレビュー。
セキュリティ。
難しい障害解析。
ここは、
高いAIを使った方が結局安い
ことがあります。
安いモデルで何度も間違えて、
修正して、
またやり直す。
その方が高くつく。
昔から、
安いものを買って結局買い直す、
という話があります。
AIでも同じです。
開発費を見る単位も変わると思う
これまでは、
「何人月ですか?」
という聞き方が普通でした。
3人月。
5人月。
10人月。
人間の工数が、そのまま開発費でした。
でもAI時代は、
少し変わると思っています。
人間の工数。
AI利用料。
クラウド利用料。
レビューコスト。
運用コスト。
そして、
市場投入までの時間。
これを全部見ないと、
本当の開発コストは分からない。
例えば、
500万円で半年掛かる開発と、
AIをかなり使って200万円で1ヶ月で出せる開発。
単純に300万円安い、
というだけではありません。
5ヶ月早く市場に出せる。
その5ヶ月には、
売上機会もあります。
競合に先を越されない価値もあります。
つまり、
AIの価値は「人件費削減」だけではない。
私はむしろ、
スピードの方が大きいと思っています。
経営者としては「AI利用料」ではなく「開発投資」で見る
AIの請求書だけを見ると、
「高いな」
と思うことがあります。
月数十万円。
普通に高いです。
でも、
これを、
「AIの利用料」
として見るのではなく、
「開発投資」
として見ると、かなり印象が変わります。
この金額で、
新しい製品のPoCができる。
既存製品をリニューアルできる。
Azureへの移行を進められる。
設計書を作れる。
テストを書ける。
レビューもできる。
そして、
私自身がまた開発に参加できる。
そう考えると、
少なくとも今のアーティサンでは、
十分に投資価値があると考えています。
ただし、会社全体で使えば話はまた変わる
今は私が中心になってかなり使っています。
でも今後、
社員全員が同じようにAIを使い始めたらどうなるのか。
10人。
30人。
50人。
一人ひとりが複数のAIサービスを契約したら、
普通に大きな固定費になります。
だから、
今後は、
誰が
どのAIを
何の業務で
どこまで使うか
どのプランを契約するか
APIを使うのか
共通基盤にするのか
こういう管理も必要になると思っています。
AI活用が本格化すると、
AIのコスト管理そのものが経営課題になる。
ここは間違いなく来ると思います。
結局、AIで開発費は安くなったのか?
私の今の答えは、
かなり安くなった。
です。
ただし、
月額利用料が安いから、
ではありません。
少人数で作れる
開発が速い
何度も試せる
失敗しても捨てやすい
レビュー回数を増やせる
経営者自身が開発に参加できる
この全部を含めて、
安くなったと考えています。
そして何より、
今までなら、
「予算が無いからやらない」
となっていたアイデアを、
「とりあえず作ってみるか」
に変えられる。
これが一番大きい。
でも請求を見ると、やっぱり少しビビる
ここまで偉そうに書きましたが、
月末にAIの利用額を見ると、
普通に、
「使ったな……」
と思います(笑)
さらに翌月、
もっと増えていたりします。
そして私はまたAIに聞きます。
「AI利用料を減らす方法を考えて」
するとAIが、
いろいろ提案してきます。
その提案を作るのにも、
またトークンを使っています。
なんだこれ(笑)
でも、
今のところはやめる気はありません。
なぜなら、
使った金額以上に、作れるものが増えているからです。
これは経営者として非常に面白い。
AIは安いのか。
高いのか。
たぶん答えは、
使い方次第。
ただ、
使わないことの機会損失も、
そろそろかなり大きくなってきた。
私はそう感じています。
次回は、
AIにAzureへのシステム移行までやらせてみた話
を書いてみようと思います。
コードを書くところを越えて、
インフラや移行までAIが入ってくると、
また景色が変わります。
そしてたぶん、
また別の請求が増えます(笑)
Artisan(アーティサン)とは
Artisan(アーティサン)とは、腕の良い職人を意味する言葉です。
アーティサン株式会社では、技術をつくること自体を目的とせず、使われ続ける価値として社会に届けることを使命としています。
モビリティ事業は公共交通事業者や自治体向けに、バスロケーションシステム「バス予報」、予約配車システム「オンデマンドバス予報」、GTFS作成支援「まかせてGTFS」、お知らせ配信「かんたんAlert」などを提供しています。
MSクラウド事業はMicrosoft 365、SharePoint、Power Apps、Power Automate、Copilot Studioなどを中心に、コンサルティング、設計、構築、開発、研修、内製化、運用支援を提供しています。
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