アーティサン株式会社

社長AIブログ 第2回 | AIだけで本当に製品は作れるのか?

この記事の4行要約

  • OpenAIとClaude Codeを組み合わせることで、要件定義から実装・レビューまで「動くシステム」を高速に作れるようになった
  • しかし「動く」ことと「お金を払ってでも使いたい製品」であることは別問題で、権限管理・障害対応・コストなど検討すべき点は多く残る
  • AIは間違った指示でも高速に実装してしまうため、人間の役割はコードを書くことより設計や判断の妥当性を見極めることにシフトしている
  • 本記事では、AI開発の現場で見えてきた「AIだけで作れること」と「人間にしかできない判断」について、社長自身の実体験をもとに解説します
この記事を書いた人
小山才喜

小山 才喜こやま さいき

Microsoft Azure Microsoft 365 AI開発

元マイクロソフトの技術営業、ジョルダン社での事業立ち上げを経て独立、起業13年目の生涯現役社長

元MVP(Microsoft Valuable Professional)
「VSTOとSharePoint Server 2007による開発技術」

など著書多数

Microsoft 認定資格(MCP)を30以上保持したタイトルホルダー


最近、AIを使ってかなり真面目にシステムを作っています。

第1回でも書きましたが、最近の私の開発体制は、

要件を私が考える。

OpenAIと設計を詰める。

Claude Codeに実装させる。

GitHubに記録する。

出来上がったものを、またAIにレビューさせる。

だいたいこんな感じです。

 

 

【このシリーズの過去回一覧】

 

 

以前なら、PM、SE、プログラマー、インフラ担当、テスターなど何人かでやっていた工程を、かなりの部分AIで回しています。

では、

AIだけで本当に製品は作れるのか?

最近よく聞かれます。

結論から言うと、

作れます。

少なくとも、

「動くシステムを作る」

ところまでは、かなり普通にできるようになりました。

これは結構すごいことです。

 

「こんなの作って」で、本当に作り始める

例えば、

「こういうWebシステムを作りたい」

とAIに伝えます。

すると、

画面構成を考える。

DBを考える。

APIを考える。

認証方式を考える。

Azureの構成を考える。

テスト方法を考える。

さらに、それを設計書にする。

ここまで普通にやります。

設計ができたら、

「では実装してください」

でコードを書き始めます。

エラーが出れば調べる。

テストが落ちれば直す。

セキュリティ上の問題を指摘すれば修正する。

GitHubのIssueやPull Requestも整理する。

昔だったら、

「まず要件定義しましょう」

「基本設計に2週間必要です」

「実装は来月からです」

みたいな話になります。

今は、

思いついたその日から開発が始まる。

これは経営者としてかなり面白いです。

 

ただし、「動く」と「製品」は全然違う

ここが重要です。

AIに作らせると、意外なくらい簡単に動きます。

画面も出る。

ログインもできる。

DBにも保存される。

一見すると、

「もう完成じゃない?」

となります。

でも実際には、そこからが長い。

例えば、

  • 他の会社も使えるのか

  • 複数ユーザーで使って問題ないのか

  • 権限管理は正しいのか

  • 間違ったデータが入ったらどうするのか

  • 障害が起きたらどう復旧するのか

  • ログは残るのか

  • バックアップはどうするのか

  • バージョンアップできるのか

  • Azureの費用は現実的なのか

動くシステムと製品の違い

そして何より、

お客様がお金を払って使いたいと思うのか。

この辺りになると、単にコードを書けるだけではどうにもなりません。

つまり、

AIはソフトウェアを作れる。
でも、製品を作るには別の仕事が大量にある。

ということです。

 

AIは、要求されたものを高速で作る

AIを使っていて一番怖いところでもあります。

AIは仕事が速い。

ものすごく速い。

ただし、

間違った要求でも速い。

例えば私が、

「こういう仕様にしてください」

と間違った設計を指示したとします。

人間のエンジニアなら、

「小山さん、これ変じゃないですか?」

と止めてくれるかもしれません。

AIも最近は指摘してくれますが、指示の仕方によっては普通に作ります。

しかも猛烈な速度で(笑)

昔なら、

間違った設計をしても実装に時間が掛かるので、その途中で誰かが気付くこともありました。

今は違います。

朝、間違ったことを考える。

昼には実装される。

夕方にはテストまで通っている。

間違ったシステムを完成させる速度まで上がっています。

これは結構危険です。

 

だから最近、コードより設計を見ています

昔の私は、プログラムを書く側でした。

Visual Studioを開いて、

コードを書いて、

デバッグして、

「動いた!」

というところに楽しさがありました。

最近は少し違います。

AIがコードを書いてくれるので、

私はコードそのものより、

「そもそもこの設計でいいのか?」

を見ることが増えました。

要件は正しいか。

責務の分け方は正しいか。

データモデルは正しいか。

権限は正しいか。

将来拡張できるか。

そして、

「本当にこの機能は必要なのか?」

ここを考える。

ある意味、プログラミングから離れたことで、逆にシステム全体を見るようになりました。

 

AIにAIをレビューさせる

最近よくやっているのがこれです。

Claude Codeが実装する。

OpenAIがレビューする。

OpenAIが、

「ここは危険です」

と言う。

それをClaude Codeに戻す。

Claude Codeが、

「修正しました」

と言う。

またOpenAIに見せる。

すると、

「まだ問題があります」

と言う。

また戻す。

時々、

AI同士が延々と終わらない(笑)

人間の開発チームでもありますよね。

設計者と開発者が、

「これは仕様です」

「いや、設計がおかしいです」

みたいになるやつ。

AIでも結構似たようなことが起きます。

ただ、人間と違うのは、夜中でも文句を言わず続けてくれることです。

こちらのトークンが続く限りですが(笑)

 

最後に「これで行く」と決める人は必要

ここまでAIができるようになると、

「では人間は何をするの?」

という話になります。

私が今のところ感じているのは、

人間の仕事は、

判断すること

です。

何を作るか。

何を作らないか。

どこまで品質を求めるか。

いつリリースするか。

どのリスクを許容するか。

誰に使ってもらうか。

いくらで売るか。

このあたりは、AIに相談することはできます。

むしろ私はかなり相談しています。

ただ、

最後に、

「これで行く」

と言うのは人間です。

製品で問題が起きたときに、

「AIがそう言ったので」

では済みません。

少なくとも会社として製品を提供する以上、最後の責任は人間にあります。

 

それでも、これは革命だと思う

ここまで読むと、

「結局AIだけでは製品は作れないじゃないか」

と思うかもしれません。

その通りです。

でも私は、それでも十分革命的だと思っています。

なぜなら、

これまで製品開発で一番大きかったハードルの一つが、

作るコスト

だったからです。

アイデアがあっても、

開発者を集める。

予算を取る。

数ヶ月掛けて作る。

失敗したら数百万円、場合によっては数千万円。

だから新規事業は簡単には試せませんでした。

ところが今は、

少人数で、

しかもかなり短期間で、

「まず作ってみる」

ことができます。

これは大きい。

AIによって製品開発の失敗コストが下がった。

私はここが一番重要だと思っています。

 

アーティサンでも実際に試しています

現在アーティサンでは、既存製品のリニューアル、新しいWebサービス、業務システム、Azureへの移行など、複数の開発でこのやり方を試しています。

最初から、

「AIで全部やる」

と決めているわけではありません。

AIに任せた方が速いところはAI。

人間が見るべきところは人間。

必要なら専門家にも聞く。

そんな感じです。

ただ以前と明らかに違うのは、

新しいアイデアが出たとき、

「誰に作ってもらおう?」

ではなく、

まず、

「AIと作ってみるか」

と考えるようになったことです。

これは私自身、かなり大きな変化です。

 

AIだけで製品は作れるのか?

もう一度答えると、

ソフトウェアは作れます。

そして条件が揃えば、かなりのところまで製品にもできます。

ただし、

  • 要件を決める人

  • 設計を判断する人

  • 品質を見る人

  • 利用者を見る人

  • 事業として判断する人

AIに任せられることと人間が最後に判断すること

これは必要です。

だから今のところ私の答えは、

AIだけでも作れる。
でも、AIだけに任せてはいけない。

です。

たぶんこれからAIはもっと賢くなります。

半年後には、この記事を読んで、

「何を当たり前のことを書いていたんだ」

と思うかもしれません。

最近は本当にそのくらい進化が速い。

だから今のうちに、いろいろ試しています。

今日もAIに、

「これ作れる?」

と聞いています。

だいたい、

「はい、できます」

と返ってきます。

問題はそのあとです(笑)

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